結婚式あるある 気になる日記


光子はまるで芝居を見ていなかった

光子はまるで芝居を見ていなかった。
こうなると光子の方が相手に対して忠実なのかしら、と自分は思った。

光子と自分とどちらが馬鹿だか解らないような気がした、
心では光子ばかりを相手にしながら態度だけ一心に舞台を
眺めている自分の腹には矢張り光子を遠回しに脅迫している心のあるような気がした。
自分は、自分が不愉快になった。

間もなく二人とも芝居が面白くなくなって、途中で出た。
と、自分は手持ぶさたな気がしてきて、出て仕舞った事を後悔していた。

「今夜妾の家に宿らないの?」と光子が歩きながらいった。
晩春の宵で、橋の瓦斯灯が滲んだ影の下で、光子の微笑が非常に美しく映った。


朝からして雲が多く

この日は朝からして雲が多く、
思うように山の形を見ることも出来なかったのでもあるし、
幸いにして海上の波は穏かであったけれども、
格別面白いこともなくして十時頃になったのであるが、
幸いにも次第に晴天となったので、鬼脇に着する前からして、
遥かに利尻山の尖りたる峰を眺むることが出来た、
早上陸する前から一同は山ばかりを見て、
あの辺がどうであろうとか、そうではあるまいとかの評定ばかりで、
随分傍から見たらおかしい位であったろうと思う、
一行の泊った熊谷という宿屋は、この土地ではかなりの旅店で、
ことに最初思ったよりは、この島が開けているので、
格別不自由を感ずるほどのこともなかった。